VPNの仕組みを図解で説明
〜PPTPとL2TP/IPsecの違いと現在の選択肢〜

この記事は2026年11月に内容を全面的に見直しました。

テレワークが普及して、VPNは一般的な技術になりました。ただ、「自宅と会社をつなぐ機能」くらいの理解の人も多いと思います。

この記事では、VPNの仕組みと方式の違い、今選ぶならどの方式かを図を使って説明します。

VPNとは

VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット回線を専用回線のように使うための技術です。

インターネットは多くのユーザが共有している回線のため、盗聴などのリスクがあります。専用回線を引けばこのリスクは減らせますが、費用が高くなりがちです。

そこで、インターネット回線を使いながら、専用回線に近い安全性で通信するために生まれた技術がVPNです。

VPNの概要図。インターネット回線を使って拠点間を専用回線のように接続する

VPNの仕組み

VPNを理解するには、次の3つを分けて考えるのがポイントです。

用語役割
トンネリング拠点同士を仮想的な通り道でつなぐ
カプセル化通信データを別のデータで包んで運ぶ
暗号化データを第三者が読めない形にする

カプセル化と暗号化は別の処理です。カプセル化しただけでは中身は読めてしまうので、安全な通信には暗号化が必要です。

カプセル化と暗号化の図。元のデータを暗号化して中身を読めなくし、新しいヘッダで包んで運ぶ

PPTPとは

PPTPは、古くから使われてきたVPNの方式です。認証にはMS-CHAP v2、暗号化にはMPPE(RC4)という技術を使います。

ただし、PPTPは現在は使うべきではありません。認証のMS-CHAP v2にも、暗号化のRC4にも弱点が知られています。「通信が速いから」「自宅用だから」という理由でも、選ばないようにしましょう。

PPTPの図。A拠点とB拠点の間にトンネルを構成し、MPPE(RC4)で暗号化して通信する

L2TP/IPsecとは

L2TP/IPsecは、2つの技術を組み合わせた方式です。

  • L2TP:トンネルを作る。暗号化の機能は持たない
  • IPsec:通信を暗号化する

IPsecでは、IKEという仕組みで暗号化に使う鍵を交換します。事前共有鍵(PSK)を使う場合は、推測されにくい長い値を設定してください。

現在も利用できる方式ですが、データを二重に包むため処理の負担が増えます。また、OSやサービスによっては今後の利用が推奨されていない場合があります。

L2TP/IPsecの図。A拠点とB拠点の間にL2TPでトンネルを構成し、IPsecで暗号化して通信する

現在の主な方式

方式特徴向いている場面
WireGuard構成がシンプルで高速新規の構築
IKEv2/IPsec主要なOSが標準で対応端末の標準機能で接続したい場合
OpenVPN実績が豊富で設定の自由度が高い細かく設定したい場合
SSL-VPNTLSを使い、ファイアウォールを通りやすい企業の外部接続

どの方式でも、安全性は機器の更新状況や認証の設定に左右されます。特に企業のVPN機器は攻撃の標的になりやすいので、ソフトウェアを最新に保ち、多要素認証を使いましょう。

最近は、VPNで社内につなぐ代わりに、利用者や端末を都度確認して必要なシステムだけに接続を許可する「ゼロトラスト」の考え方も広がっています。

まとめ

  • VPNは、インターネット回線を専用回線のように使う技術
  • トンネリングと暗号化は別の仕組み
  • PPTPは使わない
  • 新しく構築するなら、WireGuardやIKEv2/IPsecなどの現在の方式を検討する
  • 更新と多要素認証まで含めて安全性を考える

VPN機能つきのルータがあれば、自宅でも試せます。その場合も、ルータのファームウェアを最新にして、PPTPは有効にしないでください。

VPNで使うIPsecの仕組みは、IPsecの仕組みを図解で説明の記事で詳しく説明しています。

外部との通信を制御する仕組みは、ファイアウォールとDMZの仕組みを図解で説明の記事で説明しています。